恋と、嘘と、憂鬱と。
「ありがとうございます…!カフェのお手伝いもあるし、入部迷ってたんです」
ついポロッとこぼれた本音に和音さんは、
「季里ちゃんったら…そこまでお手伝いのこと気にしなくていいのよ!できる時だけで全然!それに充希もいるしね。この子部活とか入ってないから休日暇だし。前からよく手伝ってくれてたのよ」
と、慌てて言い繕う。
すると。
「…天文部ね。だから、今日、出てくるの遅かったわけ?」
ようやくご飯を食べる箸を止め、充希くんは私にそう尋ねてきた。
「まぁ、まだ仮入部期間なんだけど、少しだけ顔を出してきたの。今さらだけど、今日は本当に待たせちゃってゴメンね」
「…別にもう気にしてないからいいけど、ふーん…天文部…ね」
なぜか意味深につぶやく充希くんに、私は首をかしげつつも、特に気にすることなくスルーしてしまった。
けど…。
その日、充希くんにもっとしっかり、聞き返していればよかったと私は後日後悔することになる。