恋と、嘘と、憂鬱と。

…でも、本当に下宿先が見つかってよかった。

それもこれも全て玲子さんのおかげ。


「下宿先まだ決まってないって聞いたのだけど、良ければ、私の友達で部屋を貸してくれそうな子がいるんだけど聞いてみましょうか??」


私が上京する2ヶ月ほど前。


未だに下宿先が見つからず、困り果てた母を訪ねてきた玲子さんは、そんな提案をしてくれた。


どうやら、まだ下宿先が見付かっていないという噂を聞きつけてわざわざ訪ねてきてくれたらしい。


「え!?本当??玲子ちゃんのお友達なら、安心だわ!ぜひ、紹介してもらえる??もし、良ければ一度、そちらに伺って内見させて頂けるとありがたいのだけれど…」

母は、目を輝かせ話に食いついた。


確かに玲子さんの友人なら安心だし、とてもありがたい提案だ。


その後は、玲子さんを通して、やりとりをさせてもらい、内見も兼ねて、下宿先の大家さんに挨拶をしに行ったのがつい数週間前のこと。


< 17 / 405 >

この作品をシェア

pagetop