恋と、嘘と、憂鬱と。
『ねぇ、颯真くん夏休みほとんど毎年いないけどさ〜、いつもどこに旅行行ってるの?』
いつだったか、僕の方からそんな風に颯真くんに尋ねたことがあった。
だって、颯真くん夏休みのほとんどこっちにいないんだもん。僕だって遊びたいのに。
少し拗ねたような口調で、声を上げるとキョトンとした表情を浮べて颯真くんは僕を見つめる。
そして、フッと微笑むと。
『夏休みは、玲子おばさんが住んでる島に遊びに行ってるんだ。自然多くて楽しいし、海で遊んだり、山で星見たり…あ、来年は充希も一緒に来るか?お前に紹介したい子もいるし』
サラッと、そんなことを言うもんだから逆に僕のほうが目をしばたたかせた。
『紹介したい子って…誰?島の友達?』
『そ。島で仲良くなったんだ、玲子おばさんの近くに住んでる子で、夏休みの間はほとんどその子と遊んでる。充希より1つ年上で“きり”って言うんだ』