恋と、嘘と、憂鬱と。
和音さん、すっごく気さくだし、何より玲子さんの友達というだけあって綺麗な人だったな。
横田和音さん。
今回お世話になる下宿先の大家さんの名前だ。
玲子さんとは学生時代からの友人で、現在東京でカフェを経営している。
「あらあら、お会いするのははじめましてですね。玲子の友達の横田和音です。ここ、『フレーズ・デ・ボワ』のオーナーしてます、季里ちゃん、お母様もよろしくお願いしますね」
初めて会うまでは緊張していた私もそのフレンドリーな雰囲気で、すぐに打ち解けられたし、
母に至っては、同い年ということもあり、帰る頃には「和音さん」と、下の名前で呼ぶくらい仲良しになっていた。
「玲子からお話伺っていた通りの方達で、私もぜひお部屋を借りて頂けると嬉しいわ。それじゃ、季里ちゃん、早速お部屋を見に行きましょうか?お部屋は、このカフェの2階の空きスペースになるの。日中は、基本的に私もこちらのカフェにいるし、防犯面はバッチリだと思うわ」