恋と、嘘と、憂鬱と。
『いや、ただ…久瀬先輩って人、めっちゃ顔整ってるからちょっと、驚いただけ。久々に自分より顔良い人と会うと緊張するな…』
なんて、我ながら痛い言い訳だと思うけど、気の利いたことも何も思いつかなかったからしょうがない。
季里は、そんな僕の答えを聞いて…ホッとしたような、残念そうな…複雑な表情を浮かべていて。
表情には出さなかったが僕は少し混乱してしまった。
もしかして既に、二人の間で何かあったのかもしれない
と、勘ぐってしまう。
その時。
「充希くん!ご飯注いできたよ。このくらいでよかった?」
パタパタと、僕の分のご飯を食器に注いできてくれた季里がカフェ店内に戻ってきた。
笑顔で僕にご飯を渡す彼女から茶碗を受け取り僕も小さく「ありがとう」と呟く。