恋と、嘘と、憂鬱と。
「じゃ、季里ちゃん。俺たちもそろそろ帰るね。今日は楽しかったよ、ありがとう。颯真、行こう」
霧谷先輩が私にお礼を言いつつ、久瀬先輩に声をかけた。
「…あぁ。そうだな」
久瀬先輩も素直にその言葉に従い、霧谷先輩とカフェを出ようとした時。
「あの!ちょっと待って」
突然、充希くんが2人を呼び止めた。
急に呼び止められ不思議そうな表情の霧谷先輩と、ポーカーフェイスが崩れない久瀬先輩。
「…なに?」
意外にも、最初に声を発したのは久瀬先輩だった。
「ぼ、僕もちょっと近くのスーパーに用事あるから、途中まで一緒に行く。あんたは、掃除して待ってて。すぐ戻るから」
その問いかけに対し、充希くんは何かを決心したような口調でそう言い放つものだから。