恋と、嘘と、憂鬱と。
結局、3人が店を出ていく後ろ姿を見守ることしかできなかった。
…充希くん、急にどうしたんだろう。
1人残された私は机やら椅子を片付けつつ、予想外の行動をとった充希くんに思いを巡らす。
今日は、やっぱり充希くん変だよね…。
だって、充希くんって初対面の相手についていくような性格じゃないもの。
私とはじめて会った時だってすっごく警戒してたし…。
そう!動物で例えるなら警戒心が強い猫だな。
そんなピッタリの例えが思いつき、思わずフフッと笑みがこぼれた。
それにしても…。
久瀬先輩に、霧谷先輩…そして、充希くん。3人が楽しく談笑しているイメージが浮かばなくて苦笑いを浮かべる私。
まぁ、常識人の霧谷先輩もいるし、充希くんも人前ではわりと礼儀正しいし…大丈夫だとは思うけど。
何事もなければいいな…。
そんな一抹の不安を抱えつつも、私は近くに置いてある布巾でテーブルを拭き始めたのだった。