恋と、嘘と、憂鬱と。

しかし、そこに表示されている名前は予想外の人物から。

名前を見た瞬間、慌てて私は電話に出る。

「…玲子さん!?」

そう、電話の相手は颯真くんの叔母にあたる玲子さんだった。

「季里ちゃん?久しぶり〜!元気??和音とは仲良くしてる??」

まだ、島を出てそんなに経っていないのに玲子さんの声を聞くと、一気に懐かしさが込み上げてくる。

「…っはい!元気にしてます。和音さんもすごく優しくて良くしてくれますし…あ、和音さんの入院の件、玲子さんにも連絡いってるんですよね…?」


「うん、知ってる。暇だからか和音から毎日のように連絡くるのよ〜。それより、和音から聞いたわ…!今日部活の歓迎会だったんだって?というか、季里ちゃん、私にあんまり連絡くれないから寂しかったわよ」


矢継ぎ早に話す玲子さんは、電話越しでも、どんな表情で話しているのかが伝わってきて自然と頬が緩んだ。


「あ、すみません。私も連絡しようと思ってたんですけど…あんまりすると玲子さんも忙しいかなと思って…」


時々、チャットで近況報告をしてはいたものの、頻繁に連絡すると迷惑かなと少し自粛していた私。


そういえば、歓迎会の話は玲子さんにしていなかったことを思い出し、苦笑いを浮かべる。

< 198 / 405 >

この作品をシェア

pagetop