恋と、嘘と、憂鬱と。
「充希くん、可愛いと顔してるわよね!それこそ、もっと小さい時は本当に女の子と間違えるくらいだったのよ〜?でも、今じゃだいぶ男の子らしくなって、学校でもモテるでしょうね。私も久々に和音たちに会いたくなっちゃったわ〜」
そう声を発し、懐かしそうに思い出に浸っている玲子さん。
…いえ、今でも女の子と間違えるくらい可愛いですよ?
つい心の中で、玲子さんに対しそんなツッコミをいれてしまう私。
どうやら、玲子さんは充希くんの女装の件は知らないみたいだ。
勝手に言ったら充希くんあとが怖そうだし…黙っておこう。
そう考えていると。
「……季里ちゃん」
突然、私の名前を呼ぶ玲子さんの声のトーンが少しだけ変わった気がした。
「…玲子さん?どうかしました?」