恋と、嘘と、憂鬱と。
うーん…俺が気を遣うべきか?
と、頭の中でグルグルと一人で悩んでいると。
「あ、あの…久瀬さんちょっといいですか?」
…!!
ようやく声をかけてきた彼に俺は内心ホッと胸をなでおろす。
「なに?」
声をかけられた颯真も立ち止まり、充希くんを正面から見据えた。
「颯真に用事なら、俺、ちょっとそこのコンビニで、時間つぶしとくからごゆっくり」
「…ありがとうございます。霧谷……さん」
若干、名前とさん付けの間に微妙な間があったのは気になるものの、素直に二人きりにしてくれたお礼を言う彼には若干好感を持てた。
けど。
悪いね、普通の良い奴なら、ここで本当にコンビニ入って聞かないフリするんだろうけどさ。
パタパタと、早足で近くに見えたコンビニに入るフリをして、コッソリと、近くのブロック塀の影から二人の様子を伺う俺。