恋と、嘘と、憂鬱と。
も、もしかして…今がタイミングなんじゃ。
そう思い、意を決して久瀬先輩に近づこうとした時。
ドンッ。
背後から軽く誰かがぶつかってきたような衝撃がはしった。
…え?な、なに??
驚きつつ、おそるおそる後ろを振り返ると、私にぶつかって尻もちをついたのだろう。
まだ3〜4歳くらいの女の子が目をパチパチさせて私を見上げていた。
「だ、大丈夫…!?ゴメンね、ケガはない??」
驚いているのか、カチンと固まってしまい立てないでいる女の子に声をかけ、慌てて怪我の有無を確認する。
ケガはない…みたい。よかった…。
そう安堵したのも束の間だった。
「…ふぇっ…」
…!?
平気そうに見えた女の子の瞳には、みるみるうちに涙が溜まり、その涙がポロッとこぼれ落ちた瞬間。
「…っ、えーん、おにい…ちゃん!ヒック」
ワンワンと、泣き出してしまったのだ。