恋と、嘘と、憂鬱と。
その間にも。
「…っふぇ…ひっく」
と、泣きじゃくる女の子。
この子が落ち着くまで、一緒にいてあげなくちゃ。それで、もし迷子だったら店員さんに声かけて探してもらおう。
そう思い、ポンポンと優しく女の子の背中を撫でていたその時。
「…心音!」
少し遠くから、焦ったように誰かの名前を呼ぶ男の人の声が聞こえてくる。
「っ、お兄ちゃん!」
その声に反応したのは、私の前で泣いていた女の子だ。
名前を呼ばれた瞬間、パッと泣き止み声のする方向に視線を向けている。
わぁ…この子。すっごく可愛い…。
パッチリ二重の目元に長いまつ毛は、くるんと上向きにカールしている。
さらに、ぷっくりとしたピンク色の唇に薔薇色の頬は、まるで外国のお人形のように見えた。