恋と、嘘と、憂鬱と。
スマートフォンに傷がついていないことを確認し、私はホッと胸をなでおろした。
両親に買ってもらったばかりなのに、こんなに早々と壊している場合ではない。
…また、ぶつかって落としちゃったら次こそ画面が割れたりするかもだし、早めに搭乗して席に座ろう。
そう考え、私はそのまま足早に保安検査場に向かう。
少し早めに来たからか、まだそこまで人も並んでおらず手荷物検査は比較的スムーズに済みそうだ。
「こちらに、貴金属類やお飲物などありましたら入れてください」
私の順番が来ると、スタッフの人からトレーを受け取った。
言われた通り、トレーの中に持っていたスマホやペットボトルを入れ、自分自身もセキュリティーゲートをくぐる。
特に問題なく、手荷物検査を終えた私はスマホやペットボトルをトレーから回収し、羽田空港行きの搭乗ゲートへと足を進めたのだった。