恋と、嘘と、憂鬱と。
遥奈先輩から話を聞くんだったら私自身も正直に話さないとダメだよね。
意を決して私はゆっくり口を開く。
「あ、あの…答えにくかったら大丈夫なんですけど…。もしかして遥奈先輩と久瀬先輩って…」
“付き合ってたんですか?”
そう私が尋ねるより先に。
「…颯真には、私がフラレたんだよ」
と、口を開いたのは遥奈先輩の方だった。
「え…う、嘘…ですよね」
予想していなかった答えに思わずバッと顔を上げ、遥奈先輩の顔を見つめる。
だ、だって…颯真くんの昨日の感じ…それに今までの態度をみたって遥奈先輩のこと大切に思っているのは火を見るよりも明らかだ。
でも、遥奈先輩の切なげな表情を見ると嘘をついているようには見えなくて。
「正確には…颯真の口からフラレたわけじゃないんだけどね…わかっちゃったんだ。あぁ、私よりも他に好きな子がいるんだな〜ってこと」
そんな私の気持を察してか、遥奈先輩が曖昧な笑みを浮かべ、そう言い放った。