恋と、嘘と、憂鬱と。
「…お母さん、私がもし、合格したら絶対東京に行くからね!絶対よ!約束してね!!」
「はいはい。受かったらの話でしょ?季里があの高校に受かったなら、母さんも鼻高々ね〜」
島中で噂になっちゃうわね~
なんて、軽くあしらわれたが、母の口からきちんと了解を得ることには成功した。
…絶対、受かってみせる
そして、その日から、私の猛勉強が始まった。
平日は学校が終わってから部屋に籠もり勉強。放課後も先生に質問に行くなどして教師陣を驚愕させた。
土日は、気分転換も兼ねて、近くの図書館に籠もって勉強。
「…季里、勉強するのは良いことだけど…ちょっとくらい休みなさい、よ?今日は遊んできたら…?」
ある日、娘の行動に母も何を思ったのか、とうとう受験生に対しそんなことを言い出した。
「…うん、受験が終わったら心配せずとも遊ぶから。あと、半年しかないもの。死ぬ気でやるわ」
「そ、そう…とりあえずきちんと睡眠は取りなさいよ?」
私の必死さに、母もそれ以上は何も言ってこなくなり、代わりに毎晩、遅くまで勉強している私に、夜食を作ってくれたりと、サポートしてくれるようになったのだ。