恋と、嘘と、憂鬱と。
きっと、充希くんって話しやすい雰囲気を作るのが上手いんだろう。
いわゆる聞き上手ってやつなのかな?
そのおかげか、遥奈先輩に話した時よりもスムーズに昨日出来事を含めて話すことができた。
まぁ、颯真くんと遥奈先輩が付き合っていたという事実にはさすがの充希くんも驚いていたようだったけど…。
「…というわけです」
最後まで話し終わり、充希くんの反応を確認するため隣を歩く彼を横目で盗み見る。
「…言ったんだ」
「え?」
ポツリとなぜか、驚いたように呟いた充希くんに私は思わず聞き返した。
「いや、ゴメン。こっちの話…。そっか、颯真くんのおばさんが浮気…。僕もおばさんが妊娠して妹ができるって嬉しそうに颯真くんが話してたのは覚えてる」
充希くんは、そう言うと思い出すように言葉を紡ぐ。
「…すごく仲良しだったから、全然そんなふうに思わなかった。けど、颯真くんは颯真くんで色々悩んだんだなって…そんな颯真くんの側にいたのが遥奈先輩だもん。遥奈先輩は、もうそういう気はないみたいだけど颯真くんが忘れられないのもわかるな」