恋と、嘘と、憂鬱と。

その瞬間、衝撃が走った。


「え…男の子…なの?」
 

思わず、口から溢れた言葉を聞きつけた美少女…いや、充希くんは若干嫌そうに眉をひそめる。


「…は?見たらわかるだろ?つか、声でわかりなよ?」


言われて見れば、普通の女の子と比べると若干声が低いような気もするが…見た目があまりに美少女すぎて気づかなかった。


「季里ちゃん、本当に驚かせてごめんね。この子は私の息子の横田充希。今年中学3年生なの。…こんな見た目だけど、ちゃんと男子ではあるからね?…充希昔から可愛いものとか女装が趣味でね…休みの日はこういう格好ばっかりなの」


小さくため息をつき、肩を落とす和音さん。


私はこの時、ようやく先程和音さんが息子さんの話を出した時の歯切れの悪さの意味を理解した。


「私も可愛いもの好きだし、理解はあるからいいんだけどね、初対面の人には大抵ビックリされるし、特に季里ちゃんの周りにはいないタイプだろうから…なんて説明したらいいかなぁと思ってたんだけど…」


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