恋と、嘘と、憂鬱と。

皆、ちょっと隣の県に行くくらいの軽いノリで話がどんどん進んでいく。

そんな中、私が1人戸惑っていると…。

ガラッ。

部室の扉が開き、顔を出したのは…颯真くんだった。

「…?なにこの空気」

一瞬にして集まった自分への視線に対して颯真くんは訝しげな表情を浮かべる。

久しぶりに顔を見た私は思わず、ドキンと胸が高鳴るのを感じた。

「…ナイスタイミーング!久瀬顔出すの久しぶりじゃん」

「本当に…!でも颯真いい時に来たわ」

美桜先輩と遥奈先輩が、ニヤニヤと何か企むように微笑んでいて、私は2人のそんな姿に嫌な予感しかしない。

「……」

それは颯真くんも感じ取ったようで、中々室内に入ってこようとしなかった。

「まぁまぁ、とりあえず久しぶりに来たんだし、久瀬こっち座れよ!」

「ほら、久瀬。こっちな?」

速水先輩と仙道先輩にも促され、しぶしぶといった様子で颯真くんは部室内に足を踏み入れたのだった。
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