恋と、嘘と、憂鬱と。
「そうなんです…!せっかくだし天文部らしく離島の星空見学なんていうのも素敵じゃないって思って!久瀬先輩は…どうします?」
真凛ちゃんがニコッと素敵に微笑んで、颯真くんに声をかけた。
真凛ちゃん、わざと言ってるな…。
私の地元に行くということは、必然的に玲子さんとも会うことになる。
両親の離婚から疎遠になってる実の叔母さんとの再会。
真凛ちゃんにも玲子さんの話はしたから、彼女自身もわかってるはず。
颯真くんが参加することはないってことは…。
ジッと反応を確かめるように真凛ちゃんが颯真くんを見つめ、彼からの返答を待つ。
すると。
「…へぇ、いいんじゃない?星も綺麗に見えそうだし」
シレッと颯真くんがそんな発言をするものだから、私をはじめ真凛ちゃんが目を見開いた。
「颯真、参加するのか?」
それは周りの天文部メンバーも同じだったようで、代表して霧谷先輩が颯真くんにそう問いかける。
「…行けそうだったらな。妹の面倒見ないとだからそれ次第かもだけど」