恋と、嘘と、憂鬱と。
「…うーん、まぁ確かにそう思う人もいるのかも知れないけど…別に私はそう思わないな。だって趣味って人それぞれだし、それが充希くんにとってはたまたま女装だっただけでしょう?」
真っ直ぐに充希くんを見つめ、私は応える。
「………変なヤツ」
ボソッとそう呟くと、充希くんは何故かバツが悪そうに黙り込んでしまった。
…え?私、変なこと言ったかな?
急に黙り込んでしまう充希くんに対し、私はオロオロと慌ててしまう。
すると、
「ふふ。これは充希の負けね。季里ちゃんのそういう素直な所、私好きだわ。それに、二人とも仲良くやれそうで一安心……というわけで、充希!季里ちゃんは、こっちに来て間もないからこの辺のこと色々教えてあげてね?さてと、まずは、ナポリタンも出来たし皆で食べましょ?充希の分も作ってるから」
和音さんは、どことなく嬉しそうにそう言うと、充希くんの肩をポンと叩き、1階のカフェに行くように促したのだった。