恋と、嘘と、憂鬱と。

実はまだ、"颯真くんと再会したこと"を私は、玲子さんに伝えることができないでいた。

というか、現実問題、私みたいな部外者が勝手に話をしていいものか?

とも思うし…。

そんなことを悩んでいる間にすっかり、タイミングを逃して今に至る。

でも…玲子さん、何の前触れもなしに颯真くんが島にやって来たらビックリするだろうな。

驚く彼女の姿が容易に想像でき、私は苦笑いを浮かべた。

もし、本当に颯真くんが合宿に参加するならその時は、玲子さんに話していいか聞いてみよう。

そう私が決意を固めた時。

〜♪

スマホに着信を告げるメロディが流れた。

サッとスマホを取り出した私はそのまま電話に出ると。

「もしもし?」

と口を開く。

『あ、季里?もしもし?お母さんだけど…』

着信相手は母からで、おそらく先ほどチャットで送った合宿の件についてだろうと予想がついた。

「お母さん、メッセージ見た?急なんだけど夏休みに部活のメンバーで天体観測することになって…場所、うちの島どうかなって案が出たんだけど…」

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