恋と、嘘と、憂鬱と。
第13章**夏休みの里帰り(中編)
「キャー…!船とか超テンション上がるんですけど!!ね、真凛!」
「はい!美桜先輩…!」
フェリー乗り場で楽しそうにキャッキャと会話をしているのは美桜先輩と真凛ちゃん。
2人とも都会では見慣れないフェリーに興味津々の様子。
「美桜先輩ー!真凛ちゃん、もうすぐフェリーでますよ〜」
そんな2人に声をかける私の横で、「…ハァ。いい年してあんなに騒ぐの恥ずかしくないの?」と、辛らつな言葉を口にしてため息をこぼしているのは充希くん。
そして。
「ハハッ。前も思ったけど充希くん、やっぱりズバッと言うよね」
そう言って、ニコニコ楽しそうに笑っているのは霧谷先輩だ。
先週、夏休みに入った私達は、以前より計画していた合宿という名の私の里帰りを実行にうつしていた。
今回、天文部合宿参加メンバーは、美桜先輩、真凛ちゃん、霧谷先輩。そして、充希くん。
莉々花先輩、速水先輩は家の都合、仙道先輩と遥奈先輩は推薦入試の準備が重なってしまい残念ながら不参加で…。
『ううっ…私達の分まで楽しんできてね…!』
と、チャット通話で遥奈先輩が心底残念そうに私に声をかけてきたのがつい昨日のこと。