恋と、嘘と、憂鬱と。

「季里、大丈夫?」

「意外ね。島育ちの人は船酔いしないのかと思ってた…水か何か買ってこようか?」

な、情けない…。

結局、霧谷先輩の心配した通り、途中で気分が悪くなってしまった私は1人椅子に横になっていた。

心配そうな真凛ちゃんと美桜先輩に向かって「横になってれば大丈夫なので…心配かけてすみません」と口を開く。

その時。

「一応今更だけど酔い止めのんだら?真凛さん達、季里には僕がついてるから、薬飲む用の飲み物買ってきてくれる?」

そう呟いて、バッグから薬を取り出した充希くんは私の向かい側の席に腰をおろした。

「じゃ、俺も2人と一緒に…」

「…!!…っ了解!充希くん季里のことお願いね?さぁさぁ、霧谷先輩も行きますよ〜」

「…ちょっ」

真凛ちゃんが霧谷先輩の腕を無理やり引き、自動販売機があるエリアへと連れ立って行ってしまう。

そして、なにやら楽しそうに微笑む美桜先輩は「おじゃま虫は退散ね〜」とよくわからない言葉を残すと2人の後を追って立ち去って行った。

急にどうしたんだろ…?
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