恋と、嘘と、憂鬱と。

「寝不足ね…。何か気になることでもあった?」

「…あ、うん。ちょっと考え事してて」

「ふーん…。ま、今日はあんまり無理しないようにね」

「ありがとう、充希くん」

ふいっと、視線をそらしつつも優しい言葉をかけてくれる充希くんにお礼を伝えていると、真凛ちゃん達がペットボトルの水を買って席に戻ってきた。

「はい、季里ちゃん」とペットボトルを差し出す霧谷先輩達にもお礼を述べ、素直にそれを受け取る。

その後、20分ほどフェリーに揺られていたが薬を飲んだおかけが症状もだいぶ改善してきてホッとひと安心。

さらには、船の甲板の方にまで行ける余裕が出てきた私は、真凛ちゃんと一緒に海から見える景色を楽しんでいた。

「気持ちいいね〜。季里の体調も良くなったみたいだしよかったよ」

「ご心配おかけしました…。あ!ほら、もうあと5分くらいでつくよ」

「おぉ…!陸にどんどん近づいてる!」

真凛ちゃんが目をキラキラさせて、どんどん近づいてくる陸地に視線を向ける。

…久しぶりだなぁ。
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