恋と、嘘と、憂鬱と。
アハハと、笑ってはみたものの上手く笑顔が作れなくて。
そんな私を見て、若干、眉をひそめた充希くん。
きっと、また呆れられてるんだろうなと思い、私が内心ため息をこぼした時。
「…僕だったら季里にそんな顔、絶対にさせないのに」
充希くんが、吐き捨てるように言い放ったその言葉私は言葉を失った。
今のどういう意味…?
目を見開く私を、充希くんが真剣な表情で真っ直ぐ見つめるものだから、思わずドキンと胸が高鳴る。
「季里が颯真くんのこと好きなのはわかってるし。正直、僕は勝てない戦は出ない主義だけど…」
「み、充希くん?」
「好きな子が…季里が、傷つく顔は僕はもう見たくない」
"好きな子"
ハッキリと、彼の口から出た言葉に私は小さく息を呑んだ。
「あー、もう。こんな形で言うつもり全然なかったのに。ゴメン、僕のほうが季里を困らせてるよね」
「そんなことないよ」
フルフルと首を横にふる私。
充希くんのことは、好きだ。
優しくて、話してて楽しいし、何より都会に来て間もない私の近くにいて、支えてくれた。それに、颯真くんの相談にも親身になってのってくれて…。
ただ、"恋愛"として今まで意識をしたことがなかったから、どう反応していいかわからない。