恋と、嘘と、憂鬱と。
「れ、玲子さん…!?」
あまりにも唐突な玲子さんの言葉に私は思わず、声を上げる。
しかも、間髪入れずに「僕もそう思います」なんて充希くんが言うものだから…。
「…っ!?」
つい言葉を失ってしまった。
「あらあら〜。充希くんったらわりと積極的なのね」
「はい。もう、我慢するのはやめたので」
ニヤニヤと楽しそうにほくそ笑む玲子さんに対して、ニコッと綺麗な笑顔で答える充希くん。
なんだか2人のそんなやりとりに、私のほうが気恥ずかしくなり、窓の外に視線を移す。
あ、フェリー乗り場…。
窓の外にフェリー乗り場の建物が見えた。
港にはフェリーも停まっていて、おそらくあれが最終便。
なんか…緊張してきた。
うまく伝えられるかな?
乗り場が近づくに連れ、そんな思いがモヤモヤと私の心を埋めつくしていく。
その時だった。
「着いたわよ。私は車を駐車場に停めてくるから2人は先に行って」
玲子さんは乗り場の入口に車を横付けし、私と充希くんに降りるように促す。