恋と、嘘と、憂鬱と。

「玲子さん、ありがとうございます」

車を降りた私達は、急いでフェリー乗り場のエントランスへ駆け込んだ。

建物内には、最終便に乗るために待機している人達の姿が確認できる。

この時間帯だからか、そこまで人も多くなく静かなエントランス内。

目の前にある大きな壁時計は、18時13分を差していた。

颯真くん達どこ…?

2人の姿を見つけるため、キョロキョロと辺りを見回した時。

「あれ?季里ちゃん…?季里ちゃんだー!お兄ちゃん、季里ちゃんがいるよ」

聞き覚えのある可愛らしい声と共に、パタパタと私に駆け寄ってきてきた少女の姿に私は目を細める。

「心音ちゃん…」

「ビックリした!季里ちゃんも来てたの??心音、季里ちゃんとまた遊びたかったから会えて嬉しい…!」

そう言って、嬉しそうに表情をほころばせる心音ちゃん。

そして、心音ちゃんが走ってきた方向には…。

「…季里、充希も…何でここに」

驚いた表情で、私と充希くんを見つめる颯真くんの姿があった。
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