恋と、嘘と、憂鬱と。
自分でも思うけど、緑葉谷高校に合格したのだって未だに信じられないくらいなのだ。
…しっかりしないと…せっかく緑葉谷高校に入学させてくれたお父さんたちにも申し訳ないし、最低限の成績はキープしないとね。
改めてそう決心した私。
そして、掲示板横に貼ってあったクラスの地図を確認していた時だった。
「君、新入生だよね?何組かな??教室の場所わかりそう?」
係の上級生らしき人に声をかけられ、思わず私は、声のする方向に振り返る。
「…あ、はい。2組なんですけど…」
うわぁ…この先輩格好いい。なんか、眞子ちゃん好きそうなタイプだなぁ。
声をかけてくれたのは、スラッとした長身の男の先輩。サラサラの黒髪に綺麗なアーモンド型の瞳に黒縁眼鏡をかけている。
一見真面目そうにしているが、ちらっと見えた耳にはピアスの穴が開いているのが見えた。