恋と、嘘と、憂鬱と。
そんな私の言葉に、「そっか…。わかった」と何故か少し寂しそうな表情を浮かべた颯真くんはゆっくりと背中から手を離した。
優しい手の温もりに名残惜しさを感じつつも、私は意を決して口を開く。
「颯真くん。私…ずっと言いたかったことがあるの」
真っ直ぐに颯真くんの目を見つめ、私はそう言い切った。
「あぁ、ちゃんと聞くよ。季里の話、今まで聞かなかった分も全部」
コクリと頷いた颯真くんは、優しく微笑む。
私はその表情に安堵し、緊張を和らげるため小さく息をついた。
そして。
「…好き。私、颯真くんのことが小さい頃からずっと」
凛とした声で、彼に届くように…私は口を開く。
一瞬、ピタッと固まった颯真くんが次の瞬間、目を見開いたのを私は見逃さなかった。
「ゴメンね、颯真くんを困らせちゃうのはわかってたんだけど…」
「いや…。そんなこと…」
「ううん。いいの、颯真くんが遥奈先輩のこと好きなのは知ってるから」