恋と、嘘と、憂鬱と。


「……」

押し黙る私を横目に颯真くんは、小さく口を開く。

「季里、告白の返事…今いいか?」

「…うん」

きっと、フラれるんだろうな。

漠然とそう思った。

だって、颯真くんに好きになってもらえる自信があまりにもないのだ。

妹…くらいには思ってもらえてるのだろうけど…。

それに元カノは、成績優秀で可愛い遥奈先輩。
自分とはあまりにも差がありすぎて正直、凹んでしまうくらい。

私も遥奈先輩くらい完璧な人だったらもっと自信持てたのかな?

そんなことを考えつつも、心臓だけは正直で。

颯真くんからの返事を待つ間、ドキドキと早鐘を打つ。

「…俺、中学の時は自分のことで精一杯で、季里にも玲子おばさんにも悲しい思いさせたこと、本当に悪かったって思ってる」

「……」

「季里は、ずっと手紙くれてたのに返事出さなかったしな…。実を言うと、4年間、何度か手紙の返事しようって思ったこともあったんだ。だけど、返事出す勇気がなかったんだ。本当、ダセェよな…」

少し顔を俯かせ、ゆっくりと言葉を紡ぐ颯真くん。

顔を伏せているから彼が今どんな表情をしているのか読み取れなかったけれど、絞り出すような声にギュッと胸が痛む。
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