恋と、嘘と、憂鬱と。

一瞬、何を言われたのか理解できなくて「…へ?」となんとも間の抜けた声が出てしまう。

好き…?
確かに颯真くん今、そう言ったよね。
それって、私のことを颯真くんが…?
……ッ!?

そして、意味を理解した瞬間、ブワッと頬に熱が集中するのがわかった。

「あ、の…えっと」

しどろもどろになる私を横目に。

「…フッ。さっきは俺にバシッと告白してくれたのになんで急に弱気なんだよ?」

と、可笑しそうに微笑む颯真くん。

「だ、だって…」

「だって?」

「…絶対フラれるって思ってたから。颯真くん、遥奈先輩のこと今でも好きなんだって…だから、潔く気持ちを伝えて終わりにしようって思ってたから…」

そう、当たって砕けろ精神だったからこそビシッと言えたんだ。

「……終わりに?」

ジッと、私の瞳を見つめる颯真くんの視線に「…っ」と押し黙ってしまう私。

どうしよう。

予想外の状況でどんな反応を返していいのかわからなくなってしまった。
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