恋と、嘘と、憂鬱と。

さっきまでとは違う意味で、ドキドキと早鐘を打つ心臓の音が、近くにいる颯真くんにも聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい大きく脈打つ。

「……あ、あの!えっと…」

何か言おうとしても、上手い言葉が見つからずあわあわと、1人慌てる私。

「…ハハッ。ゴメン、意地悪しすぎたな。季里の反応が懐かしくてつい」

そんなに笑わなくても…。

肩を震わせて笑う彼に私は、ジトッとした視線を送ってやる。

そんな私にようやく気づいた颯真くんが、弁明するように口を開いた。

「ゴメンって。でも、季里、テンパると1人で慌てる所とか昔のまんま。変わんないな…」

「どうせ、小学生辺りから全然、成長してないですよー」

からかわれたと思い、ふいっとそっぽを向く私に対して。

「違うって。そういう意味じゃなくてさ…。嬉しかったんだよ、俺が当時から好きだった季里のまま、変らないでいてくれたことがさ」

そう優しく言葉を紡ぐ。

その時。

『……季里は、ずっと変わらないで…そのままでいてよ』

私はふいに過去、颯真くんから言われた言葉を思い出した。
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