恋と、嘘と、憂鬱と。
ようやく、長かった受験からも解放された。
お世話になった先生たちに、きちんと報告し、友達にも報告を終えた私は、ルンルン気分で学校を後にする。
そして、ようやく家路につき、自宅玄関の扉を開けた時。
パンッ!パン!
クラッカーの音に出迎えられ、私は目を見開いて固まる。
「季里ちゃん、おめでとう!!」
「「「おめでとう〜!!!」」」
その日帰宅した私を出迎えたのは…
近隣に住むご近所家族全員だ。
田舎あるあるだが、何かめでたいことがあると、すぐに噂が広まってしまう。
「聞いたよ!季里ちゃん、東京の学校に行くんでしょ〜いいなぁ。羨ましいなぁ。私も高校そっちに行こうかなぁ〜」
近所に住む、小学6年生の美咲ちゃんが目を輝かせて詰め寄ってくる。