恋と、嘘と、憂鬱と。
急な忠告に戸惑いつつも、私はコクコクと、頷いた。
…速水先輩の中で霧谷先輩ってどういう扱いなんだろう…。
「…あ、あの速水先輩…そしたら、私用事があるのでそろそろ帰りますね?霧谷先輩にもよろしくお伝えください」
なぜか帰るタイミングを逃し、この場に長居してしまっているが、私もそろそろ帰らないと、和音さんとの夕飯の時間が遅くなってしまう。
とりあえず、速水先輩に帰る旨を伝えると、
「おう。なんか引き止めたみたいで悪かったな。理央には適当に言っとくから、気にしなくていいぞ。じゃ、堀田気をつけて帰れよ」
と、軽く手を振り、挨拶をしてくれた。
「はい、ありがとうございます!それじゃ失礼します」
最後に小さく会釈をして、その場を後にしようとした時。
「あ、颯真やっと見つけた。こっちこっち!」
霧谷先輩のそんな言葉が耳に入ってきて、一瞬、固まる。