恋と、嘘と、憂鬱と。


急な忠告に戸惑いつつも、私はコクコクと、頷いた。


…速水先輩の中で霧谷先輩ってどういう扱いなんだろう…。


「…あ、あの速水先輩…そしたら、私用事があるのでそろそろ帰りますね?霧谷先輩にもよろしくお伝えください」


なぜか帰るタイミングを逃し、この場に長居してしまっているが、私もそろそろ帰らないと、和音さんとの夕飯の時間が遅くなってしまう。


とりあえず、速水先輩に帰る旨を伝えると、


「おう。なんか引き止めたみたいで悪かったな。理央には適当に言っとくから、気にしなくていいぞ。じゃ、堀田気をつけて帰れよ」


と、軽く手を振り、挨拶をしてくれた。


「はい、ありがとうございます!それじゃ失礼します」


最後に小さく会釈をして、その場を後にしようとした時。


「あ、颯真やっと見つけた。こっちこっち!」


霧谷先輩のそんな言葉が耳に入ってきて、一瞬、固まる。


< 52 / 405 >

この作品をシェア

pagetop