恋と、嘘と、憂鬱と。
「お!よかった、アイツまだ学校いたんだな。帰ったかと思ってた。あ!堀田、まだ時間ある?せっかくだから紹介するよ」
笑顔で速水先輩が横にいる私にそう声をかけてきたため、
「あ…はい」
私もゆっくり、先輩達の方に向き直る。
すると、
「季里ちゃん、コイツも2年生で俺と速水と同じクラス。名前は…」
霧谷先輩がガバッと、肩に手を回しながら、引っ張って連れてきた人物。
「…おい、霧谷引っ張んなって」
不機嫌そうに呟く姿が目に入った瞬間、私は戸惑いを隠せない。
だって…まさかこんなに早く再会できるなんて思ってなかったから。
「……颯真くん?」
微かに呼んだ私の声が届いたのか、颯真くんは気怠そうに私に向き直った。