恋と、嘘と、憂鬱と。


瞬間、バチッと視線が絡む。


最後に会った時よりも、随分身長が高くなっているし、顔立ちも、まだあどけなさが残っていた小学生の頃よりも、ずっとずっと大人っぽくなっているけど…。


…颯真くんだ、本当に会えたんだ…。


私は、嬉しさと懐かしさから思わず目を細めた。


「…え?二人知り合いなのか?」


状況が読み込めていない速水先輩が交互に私と颯真くんを見つめ、霧谷先輩も、興味深そうに私達に視線を向けている。



そんな二人に「はい!そうなんです」と、私が肯定の意を述べようとした時だった。



「…いや、知らないけど?…誰?」


…え?


気怠そうに颯真くんが発したその言葉に私は目を見開く。


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