恋と、嘘と、憂鬱と。
「…え?西宮颯真くん…だよね?私、季里だよ。ほら、小学生の頃、夏休みに島で一緒に遊んだ…」
「…俺の名前は確かに颯真だけど、名字は久瀬。久瀬颯真」
久瀬…颯真?西宮じゃなくて…?
…嘘…、人違い…?ううん、でも…。
未だに頭の中が整理できず、私が戸惑いを隠せないでいると、
「あ、あぁ〜。なんだ、人違いか!ビックリしたわ。でも、そういうことって時々あるよな」
と、速水先輩がオーバーリアクションで会話に入ってくる。
私が困っているのを見て、助け舟を出してくれたようだ。
「…ふーん?人違い…ね?そんなに似てるんだ、季里ちゃんの知り合いと颯真って」
霧谷先輩がニコッと微笑みつつ、私に声をかけてくる。