恋と、嘘と、憂鬱と。
残念そうな表情を浮べ、肩を落とす霧谷先輩。
今度はそんな先輩のフォローに回る私に、
「…ふふ。季里ちゃんって良い子ね。霧谷くんのことは気にしなくていいわよ?どうせ、傷ついたフリなんだし」
と、莉里花先輩が助け舟を出してくれた。
「あー、莉里花ちゃん。酷いなぁ、俺は本気で傷ついてるのに」
シクシクと泣き真似をする霧谷先輩を見ると、どうやら莉里花先輩の言ってることが正しいようだ。
…なるほど。霧谷先輩のキャラクターが少しだけつかめたかもしれない。
「…わかりました。これからは霧谷先輩への対応考えます」
「え!?なんか、季里ちゃんの対応が急に冷たいんだけど!?」
そんな私達二人のやり取りが可笑しかったのか美桜先輩、莉里花先輩はクスクスと笑い、速水先輩は呆れたように見つめている。
その後、天文部の活動について莉里花先輩たちから話を聞きつつ、ようやく場の空気感に慣れてきた頃。
「すみません…!陸上部の先輩が中々、帰してくれなくて……って、あれ?季里だけ??」
化学室に顔を出した真凛ちゃんが、私と先輩達を交互に見て目を見開いたのは言うまでもない。