藤堂くん、もっとぎゅっと抱きしめて
私、東良瞳は、中学のころからパニック発作を患っている。
クラスの女子から無視されたことが原因で、ある日突然引き起こした。
何故無視をされたのか、理由は分からない。無視をするほどに私の何かが気に喰わなかったのだと思う。
――それ以降、症状は悪化した。
息切れ、激しい動悸、めまい、手の震えなど、様々な症状を引き起こしてしまうようになった。
藤堂くんの背に乗り保健室へと到着。中へ入ると保健室の先生は不在のようで、藤堂くんは戸棚から紙コップを一つ取り出し、水道水を入れてくれた。
「水飲める?」
「ありがとう……」
差し出された紙コップを手に取り、水を口に含む。
高校に通い出して半年。藤堂くんは入学当初からずっと私を気にかけて心配してくれている。
藤堂くんは優しいしカッコイイ。私を保健室に連れていく姿を、他の女子はきっと良く思っていないのだろう。
「藤堂くん、ごめんね」
「いや、特になにもしてないよ」
乾いた笑いを見せる藤堂くん。
私を保健室に送り届けたら「先生来るまで一人で待ってて」って突き放してくれていいのに。
なんでいつもいつもこんなに良くしてくれるんだろう。