ベルベット
子供心ながらに、お母さんが写真のお父さんをものすごく大事にしているのを理解していた。『由弦はね』で始まる話をする時のお母さんはとても幸せそうだった。今は遠くに行っちゃって逢いたいのに逢えないと、寂しそうに笑うのが悲しかった。
「あんまり遠くなったらお母さんが寂しがるだろうなと思って。だからなんていうか・・・わたしにとって父はお父さんだけど、親はマー君だからね?そこは変わらないし、ものすごく感謝してるよ」
照れ臭くなり、わざと逸らした視線をもう一度戻してぎょっとした。紙ナプキンを目頭に当て本当に男泣きされるとは思わずに。
「ちょっ、・・・なんで泣くかな、もうっ」
「いや、アレだ、ゴミだ」
「お母さんは鼻水だって言ってた。仲良し夫婦だね」
「・・・だろ?」
手渡したティッシュで小さく鼻をかんだマー君の笑い顔は、年甲斐もなくちょっと可愛かった。
・・・タロウにも見せたかった。そうしたら少しは剥がれたかもしれない、極道者のレッテルが。
「あんまり遠くなったらお母さんが寂しがるだろうなと思って。だからなんていうか・・・わたしにとって父はお父さんだけど、親はマー君だからね?そこは変わらないし、ものすごく感謝してるよ」
照れ臭くなり、わざと逸らした視線をもう一度戻してぎょっとした。紙ナプキンを目頭に当て本当に男泣きされるとは思わずに。
「ちょっ、・・・なんで泣くかな、もうっ」
「いや、アレだ、ゴミだ」
「お母さんは鼻水だって言ってた。仲良し夫婦だね」
「・・・だろ?」
手渡したティッシュで小さく鼻をかんだマー君の笑い顔は、年甲斐もなくちょっと可愛かった。
・・・タロウにも見せたかった。そうしたら少しは剥がれたかもしれない、極道者のレッテルが。