『スカートが捲れた、その時ボクは…』絶対言わないでください!番外編
ファミレスから出る時間は外が暗くなってて

菊池さんに何か起きたら
ボクが守らなきゃって緊張する


「武頼、大学行ってやりたいことあるの?」


「んー…特にない」


「じゃあ、なんで大学行くの?」


「卒業するから…
菊池さんは?なんで大学行かないの?」


うちの学校で進学しない人は珍しい

しかも
菊池さんはまだちゃんとした進路を決めてない


「んー…ずっと高校生がいいけど…
とりあえず、卒業するから」


「「アハハハハ…マネした」」


「卒業しなかったら毎日会えるのにね…」


あ…

正直な気持ちだったけど
言った後、口が滑ったと思った


「え?誰と?」


ちゃんと突っ込まれた


「あ、みんなと」


ちゃんとごまかせた


「武頼は大学生になったら
きっとキスするんだよ」


「またその話?」


菊池さんから『キス』って単語が出るたびに
ドキドキするからやめてほしい

ハラハラに近いドキドキ


「だからする予定ないって」


「そんなのわかんないじゃん
カノジョできたらするよ」


「カノジョできないって」


「なんで?
あ、やっぱり男が好きとか?
カレシができてもキスするでしょ
お互い好きだったらいいと思うよ」


ジェンダーレスな考えなんだね


「や、男とかじゃないけど…」


「じゃないけど…って
武頼って、ちゃんと女の子が好きなの?」


「え、うん…」


「今、好きな人いるの?」


ホントに知りたいの?

また適当に質問してるだけ?


「ん…」


ボクは菊池さんに気持ちを伝える気はない


「誰?」


「答えなきゃいけないの?」


「あ、いるんだ!
アイドルとかナシね!
現実に、リアルに」


「いいよ、言わなくて…」


きっと伝えたら
菊池さんは迷惑する


「なんで?教えてよ!
前に話してた、リオっていう子?」


「あ…」


あの日、ボクはそう言った


「あ、ごめん…
あの日のことは忘れてって私が言ったけど
私と同じ名前だったから覚えてた
忘れられなかった」


「じゃあ
菊池さんが全力で応援するって言ったのも
覚えてる?」


「言ったっけ?そんなこと」


それは忘れてるの?


「うん、菊池さん言ったよ
タケヨリが頑張るなら
私が全力で応援するから…って」


「言ったかもね」


「応援してくれるなら
教えてもいいよ」


だいたい応援て何?

応援してもらったら付き合えるものなの?

そーゆーのが
言ってる意味がよくわからない


「やっぱり、応援したくない
武頼、頑張らなくていいよ」


「なんだよ、それ…
アハハハハ…」


菊池さんも一緒に笑うと思ったのに
オレしか笑わなかった
< 91 / 98 >

この作品をシェア

pagetop