婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
セシルが皇后として存在するだけで命を狙われるなら、そんなもの必要ないんじゃないか? 俺が皇帝の座を求めたのは、セシルを守るためだ。
それがむしろ足枷になるなんて、あの時は思ってもみなかった。
「ちょっと! なに辛気臭い顔してんのよ! そんなんでセシルを幸せにできるの!?」
「……アマリリスの魔女か。なんの用だ?」
突然現れた魔女の相手をする気になれなくて、適当に返事をする。抜き打ちできては、俺に小言を言って帰るのだ。
「前に言ったわよね? セシルを幸せにしなかったら、あなたを呪うって」
そういえばそんなことも言っていたな。まあ、そんなこと言われなくても考えているが。
「だからこそ悩んでるんだろ」
「ふん、一丁前に悩んでる場合じゃないでしょ。セシルの命が狙われてるのに、チンタラやってるんじゃないわよ」
アマリリスの魔女の言葉になにも返せない。