婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

「信じられないわ……そうよ、この調査結果が間違っているのよ!」
「……この調査は陛下の影をお借りして調べたものだ。間違いない」
「陛下? どうして陛下がそこまでするのよ!?」

 本当に意味がわからない。いつも辛気臭い顔をしていたお兄様が、なぜ陛下を繋がりがあるのか。

「陛下は本当にセシルを大切に思ってくださっている。だからこそだ。今回の教会の不正調査に協力するならと力を貸してくださったのだ」

 悪魔皇帝は思ったよりも馬鹿らしい。あんな魔女を大切にしているなんて信じられない。どう考えたって、わたくしの方が皇后にふさわしいのに。そんなこともわからない男なんて願い下げだ。

 そこでわたくしはひとつ可能性を見出した。

「待って、それじゃあ、エル様との婚約はどうなるの!?」
「それはこれから協議となる。あちらも当主がエルベルト様になっただろうから」
「それなら、今はまだわたくしの婚約者ということね!?」
「……正式な婚約解消はしていない」

 それなら、まだチャンスはある。わたくしが皇后になるための方法が。


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