婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

 翌日、私はミリアムにお茶の時間になったら私室に来てもらうようお願いした。時間通りにやってきたミリアムとフィオナにお茶とお菓子を出す。

 フィオナは以前と同じように、キラキラした瞳で真剣にお菓子を吟味していた。

「今日は時間を作ってくれてありがとう。実はね、私一カ月後にここから出ていくことになったの」
「えっ! セシル、それは本当なの!?」
「ええ、この前レイから言われたから、間違いないわ」
「どうしてそんな急に……」

 私はニコッと笑って事実を話す。まだ契約が有効だから、すべては話せないけどちゃんとお別れがしたかったし、伝えたいこともあった。

「さあ? 私は細かいことはよくわからないし、興味もないのよね。まあ、前の生活に戻るだけだし、どうってことないわ」
「でも、あんなに陛下の寵愛を受けていたのに……!」

 どんな場所でも仲のいいふりをしていたけど、それはあくまでも演技だから。レイは別に私のことなんて、なんとも思っていない。


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