婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
ますます沈んでいく心を、なんとか押し込めて話題を切り替えた。本題はこちらなのだ。
「あ、でもミリアムは皇城の専属薬師として働ける様にしたから安心してね。あの丸薬を作れるのは、ここではミリアムだけだから冷遇されることもないと思う」
「セシル、ありがとう……罪を犯した私にここまでよくしてくれて……」
「なに言ってるの、もう罪は償ったでしょ。でも、こう考えると魔女って食いっぱぐれがなくて最高だわ」
そう言ってふたりで笑った。
「ねえ、セシルお姉ちゃんはここからいなくなっちゃうの?」
フィオナがお菓子を飲み込んで、声をかけてきた。
「ええ、そうよ。ひと月後にはさようならね」
「それなら、わたしを弟子にして!」
フィオナの言葉に私もミリアムも驚いた。私の弟子というのは、つまり魔女になりたいということだろうか? 確かにフィオナは闇属性の魔力を持っているから、できない話ではない。
「フィオナ、それはどういう意味かしら?」
「わたし、魔女になりたい」