婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

「ミリアムはここに残れるようにしたから、私についてきたらママと離れることになるのよ?」
「わかってるよ。でも魔女になって今度はわたしがママを守る」

 その決意はわずか十歳の少女だからと無視できないほど、強くまっすぐだった。フィオナが魔女になった先のことを考える。フィオナが魔女になれば、私が新しい解呪の方法を教えられる。

 そうしたら、闇の魔力に取り込まれる心配なく解呪ができる。修行期間を成人までに設定すれば、独り立ちも支援できるだろう。

「ミリアムはいいの?」
「ふふ、フィオナは私に似て頑固だから、こうなったら母親の話も聞かないわ。週に一度会えるのならセシルにお願いしたいけど大丈夫かしら?」

 ——私はもうできないから。

 そんなミリアムの声が聞こえた気がした。私がミリアムの魔女の力を封印したのだから、答えは決まっている。

「もちろん大丈夫よ。私が責任持って一人前の魔女に育て上げるわ」

 そうしてすぐにでも魔女になるための洗礼の儀式を受けるというので、仕事が終わったらまた私室に来てもらうことにした。


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