婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
「セシル、わがままを聞いてくれて、ありがとう」
「なに言ってるのよ。修行はこれからよ」
「そうね。ビシバシ鍛えてちょうだい」
「じゃあ、まずは目が覚めたら私のことを『セシル師匠』って呼ばせるからね」
「ふふ、私が教えておくわ」
そう言ってフィオナをミリアムたちが住む部屋まで運んだ。この城にいる間はミリアムと寝起きしてもらうけど、私が城を出るときには一緒に新しい家に引っ越すのだ。
「ゆっくり休ませて、しっかり開花できたら、私室へ寄越してね」
「セシル……フィオナをお願いします」
ミリアムは深く頭を下げた。私は「任せて」とだけ返事をして、部屋に戻ったのだった。