婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
それにミリアムをもとに戻せるとしたら、可能性があるのは魔女の秘薬だ。あらゆる病を治すレシピがあるけれど、それがすべてではない。まだまだ開発の余地があった。
幸いにも王宮の薬草園の伝手もあるし、材料には困らないだろう。フィオナの修行のためにも薬屋を営みながら、研究を続けるのが一番だと考えた。
ただ解呪の仕事も大切だから、こちらは裏メニューの完全予約制としてふたりで曜日を決めて対応することにするつもりだ。これで薬草の材料費も賄えるし、少しくらい根の張るものも使えるはずだ。
「すみません、この部屋の契約をしたいのだけど」
「はい、かしこまりました!」
こうして、私たちの新しい生活が始まろうとしていた。
私にとっては三度目の旅立ちだった。