婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
その後、調査をしてみたら、使えない執事の言う通り魔女の秘薬を扱う薬屋があった。若い女と子供のふたりで営業しているらしい。
「わたくしが使った魔女かしら……いえ、あの魔女は処分されたと言っていたわね。では、別の魔女がいるのかしら?」
わたくしは魔女を使ってセシルを陥れる計画を立てはじめた。
最近は毎日といっていいほど帰りが遅いエル様を待って、新たに思いついた計画を相談しようとした。
もう日付が変わった頃にやっと帰ってきたエル様からは、お酒と知らない香水の匂いがする。襟元からチラリと覗く赤い花びらに情事の影を見た。
「エル様……どういうことなの! 他の女と関係を持つなんて、わたくしを馬鹿にしているの!?」
「シャロン、これは私たちの計画を進めるために必要なことなのだ。お前は公爵夫人の地位があるのだから、なにも心配はいらないだろう」
面倒くさそうに答えるエル様に怒りが込み上げる。
あんなにわたくしに溺れていたのに、いつの間にか冷めた視線を向けるようになっていた。