婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!
言葉の意味を理解して、心は地獄の業火のように燃えているのに、頭の芯が冷えていく。
俺のセシルを攫っただと?
皇后から解放したというのに、それでもなおセシルを狙うのか?
ならば、そいつらの首を刈り取るまでだ。
こんな思考回路だから、俺は悪魔皇帝と呼ばれるのだ。
だが、今はそれでいい。
悪魔のようにすべてを奪い尽くし、破滅させてやる。
ブレイリーから詳細報告を受けた後、フューゲルス公爵家まで転移の魔道具で移動した。騎士たちの準備が整うまで待っていられなくて、単身公爵家に乗り込もうとしたら、ブレイリーだけがついてきた。
ひと目で皇帝だとわかるように、俺しか着ることができない真紅のマントを羽織ってきたから、門番が驚き慌てふためいている。
「こ、皇帝陛下!」
「門を開けろ」
「しかし、公爵様には誰も通すなと……」
「開けろ。次はない」
そこで腰にはいた剣を抜けば、門番は慌てて門扉を開いた。